改ベスト交通_1.JPG  10月1日の新タク特法施行を受け、既存・新規でそれぞれ上限運賃以下を採用する有力事業者に今後の展望と経営対応を取材、いずれも上限での『同一運賃』へ舵を切るべきとの見解を示した。  新規で規模を拡大、低額運賃事業所も有する会社幹部は「運賃については、自動認可枠の下限が3%となり、640円が下限になるならば、660円で統一したほうが良いと思っている。国とすれば、同一地域・同一運賃にするのが、目的であろう。特に郡部で運賃競争に陥っている地域は上限に値上への絶好のタイミングだと思う。ただ一部、抜け駆けで下限を取る可能性がある事業者との関係が問題だ」と見る。  現に、小規模ながら、低額運賃で営業を続ける新規事業者は「今後も初乗り500円で経営していく。法律では適正原価に適正利潤を加えたものとあるが、適性原価を償っていれば問題はないことであり、当社は問題ない。低運賃会社への監査強化についても、十分対応でき大丈夫だと思っている。他社が値上げをしても、当社はこのスタイルで継続していくのみだ」と明言し、上限での運賃協調は繊細で崩れ易く、担保が必要であることも感じさせる。

~持続的経営のために~

 一方、既存の有力事業者は「上下限枠の縮小によって、運賃格差による競争力はなくなるといってよい。グループとして時期は別にして新自動認可枠に収れんさせる可能性は極めて高いということだ」との認識を示した。

 さらに「今後、例えば最賃も引き上げが続けていくと考えれば、適性原価に適性利潤を償うことを運賃の前提とすれば値上げ意外に経営を維持する方策はないといえる。一方で、『適性原価に適性利潤を加えたもの』とする運賃の規定からすれば、現在の660円でそれを償っていない場合は運賃改定を行うということに繋がるのか」と問題提起し、「仮に3%での格差がついた、あるいは現時点での下限割れ業者が同調しなかったとしても、新規・増車が抑制されている中では大きな影響力はない。実車率が60%、70%になることはないのだ。従って、その競争に参入する必要はなく、運改を含め、適性利潤を確保する中で経営の安定、持続性に重きを置くべきであろう」と自社『運賃』の今後あり方を示唆するとともに、新法による“供給抑制”が運賃協調の担保となるとの見方を示した。

___kochi1.JPG 「歴史に残る英断」坂本会長、「業界の強化へ」古知代表  推薦人は薬師寺・最高顧問 大阪タクシー協会は18日、緊急五役会を開き、北港梅田グループ(古知愛一郎代表)で作る独自協会「大阪府乗用自動車協会(大乗協)」(古知一郎会長)傘下の全15社(1277両・うち幸福交通、極東交通は既加入)から出された入会申請について全会一致で了承。今月25日に臨時理事会を招集し、正式に承認する見通しだ。 大乗協は、かつて運営や経営方針の相違から大タ協を脱退し、任意団体として設立。その後、買収を重ねグループ拡大路線を進め、直近の極東交通の買収を含め保有両数では大阪最大手にまで拡大してきた。また、東京はじめ本州各地に事業所を有し、総保有両数は3千両を超える。現在、経営の指揮を執る、古知愛一郎代表は、今回の協会復帰について規制緩和、社会的規制強化の流れから経済的規制も含めたタクシー産業への包括的な規制強化の中で、業界において各社が自らの事業を守るためには改めて協調、団結で「力」を強める必要があるとの判断から「歴史的決断」に至った。 古知氏は、この決断を今月7日に薬師寺薫・最高顧問との会談で伝え、薬師寺氏も「近年、良いいことのない業界にあって明るいニュース」と歓迎の意向を表明、入会の筆頭推薦人となることを承諾した。 11日には古知代表自らが日本タクシー本社を訪ね坂本会長に「協会復帰」への意思を伝え、坂本氏は、古知氏の協会復帰を歓迎するとともに「歴史に残る英断」と語り、最大に評価した。13日に正式に入会申請が提出されたことを受け、坂本会長は即座に五役会の開催を要請、今日の会議では坂本会長が、大乗協各社の入会申請について説明した上で、薬師寺最高顧問を筆頭に正副会長全員が推薦人となることを執行部の総意として確認した。大タ協は、五役会の了承を受け、諸手続きを整えた上で今月25日に臨時理事会を開き正式に入会を承認する見通しだ。 一方、北港梅田グループは今回、協会復帰する会社(全社、初乗は上限運賃)以外に「ワンコイン」事業所も保有しているが、今後のあり方については情勢を見極めた上で慎重に対応する方針のようだ。また、同グループの理事票については、これまで同様、所属する協同組合に預託する考えで、古知氏自身が理事等の役員に就く考えはなく、「協調」という形で協会運営に協力する姿勢だ。

時代動かす波となるか

 大阪業界では大乗協のほかに独自グループを形成する三菱タクシーグループ(笹井良則代表)、日進交通(天野太郎社長)、ワンコインタクシー協会(町野勝康会長・大阪タックングループ含)が分立しているが、最大グループの大タ協復帰により、10月に施行される新法に基く地域協議会においても大タ協の影響力が強化されることとなりそうだ

_________.JPG大阪タクシー協会(坂本克己会長)は21日、市内のホテルで理事会を開き、坂本会長が新法の実効性を確保するため「悪貨駆逐の総論に結集せねばならない」と訴えた。同会長は新法成立までの概略を説明した上で「正直者がバカを見てはいけない。とくに運賃では正当に真っ直ぐに歩むべき。各論では皆事業者として生々しい営業現場に生きるが、今は総論で悪質事業者の排除に向かっており、各論が出れば総論が崩れる。我々は総論、一枚岩で進みフェアな闘いで勝利する」と強調した。また、坂本氏は規制緩和への反転に対して「営業の自由は憲法で保障されており、競争的な営業行為を阻止できない。政府、与党はこの制限に縛られる。こうした中でも公共交通として日夜貢献せねばならない葛藤もあった。法制の中でいかに我々の意思を頓挫させず実現するか苦しみ、結果法の9条3項の読み替えというぎりぎりの形で同一運賃に近い結果を勝ち得た」と述べ「地域でワンパッケージと言うべき産業であるタクシーにおいて、企業努力による割引などあり得ず、一部の事業者が特別な割引、低価格を実施すれば、たちまち共倒れになる。これを阻止するためにも良貨がまとまらねばならない」と重ねて協調の重要性を語った。


タクシー論壇 NO.4 2009年07月17日
タクシー論壇 NO.4
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